CTを導入して4カ月経ちました。

CTを導入して4カ月経ちました。
2024/01/ 2

CT(CBCTと呼ばれます)が、みと歯科・矯正歯科に来たのは、2023年9月11日です。モリタ社製のべラビューエポックスX700+3Dという機種です。モリタは歯科領域で、初めてCTを開発製品化させた会社で、他の製品でもとても定評がある会社です。

なぜ、みと歯科・矯正歯科でCBCTを入れたかというと、今年の8月にインビザライン治療で、クリンチェックにCBCTのデータを組み込めることが出来るようになったためです。これまで、歯冠と歯ぐきだけのクリンチェック画像ではなく、歯根の動きまで確認できるようになるからです。これまでのクリンチェック画像では、歯冠の動きは確認できても、それに伴う歯根の動きが実現可能な動きなのかを目で確認できませんでした。(クリンチェックには歯牙移動表といって歯冠だけでなく歯根の動きを細かく示す表があって、それを読み取れば歯根がどういう動きをするか分かります。) また、歯は顎骨の中でしか動かすことが出来ないので、その動きは顎骨内から逸脱していないかを確認できるようになりました。治療計画を立てるときに、とても役立ちます。

 インビザライン治療がきっかけで、CBCTを導入しましたが、抜歯予定の親知らずの位置や神経の管の本数や位置、上顎洞炎いわゆる蓄膿症の診断、原因が歯にある場合のその歯の特定、歯周治療における顎骨の吸収状態がCT画像を駆使することによってわかるようになってきました。具体的に症例をいくつかお見せします。

図1はクリンチェックでCT画像が統合されたもの(右)と通常(左)のもの。CTと統合されたものは犬歯が埋伏していてその位置がわかるので動かしたい歯が予定通り動くかどうかの判断になります。また、埋伏している親知らずの位置もよくわかります。

図1  スクリーンショット (126).png

図2は、矢印が左右の上顎洞(副鼻腔の一つ)を示していますが、左側は白くなっています。炎症がないものは右側のように黒く見えるのですが、炎症があると白く見えます。果たしてこの炎症はどこから来ているのか探ってみると、右上の一番奥の歯の神経が死んでしまって、それが原因で右側の上顎洞が炎症を起こしています。図3では、矢印の部分が上顎同に通じているように見えます。このように鼻の病気でも歯が原因の場合も考えられるので、CT撮影は有効な診断基準になります。

上 図2:下 図3スクリーンショット (122)1.png

スクリーンショット (123)1.pngのサムネイル画像

図4では、矢印で示している部分がくさび状に黒く透けて見えます。これは、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が歯周病で溶けているのを示す画像です。これは、通常のレントゲンでも2次元的に見ることはできるのですが、CTだといろんな角度から見ることが出来るので、3次元的に歯周病がどの程度進んでいるかの診断に役立ちます。                                     図4スクリーンショット (124)1.pngのサムネイル画像

図5では、右上の奥から2番目の歯の歯茎の部分にできものが出来ている原因を見つけ出す画像です。右上の奥歯は、根が3つあるいは4つある場合が多く、通常のレントゲンではどの根が原因かを特定が難しい場合があります。CT画像で頬側の手前の根が原因だと分かりました。手前の頬側の根は、一つに見えてももう一つある場合があります。そういうことがあるので、いろいろと画面を駆使してみると、矢印で示した根の半分だけ白いものが詰まっていて半分は黒く透けてみえます。ここの部分を治療すると歯茎のできものはきれいになりました。                   図5スクリーンショット (125)1.png

 図6では、抜歯する予定の水平に埋伏した親知らずの画像です。三叉神経の一つである下顎神経(矢印下)の走行やいろんな角度から見て歯の形態を確認でます。                   図6  スクリーンショット (127)1.pngのサムネイル画像

 今回インビザラインのクリンチェック作成をスムースにするためにCTを導入するきっかけにはなりましたが、歯科の領域で3次元で口腔内や、歯牙、上顎洞、顎骨など見て、診断に役立てることができます。万能ではないにしても、これまで、立体(3次元)を平面(2次元)で見て、診断していたものを3次元で見ることが出来るようになって幸せです。もっと早くから導入していたらよかったと思います。