エアフロープロフィラキシスマスターという優れもの

エアフロープロフィラキシスマスターという優れもの
2024/01/21

スイスの会社EMSが販売しているエアフロープロフィラキシスマスターという製品があります。口腔衛生治療機器です。どうして私がこの製品を購入したかということをお話しします。

長年勤めていた歯科衛生士が退職しました。現在は衛生士が募集してもなかなか来てくれません。患者さんの中には、定期検診希望で、歯の治療はなくお口のクリーニングや衛生指導だけで来院される方も多くいらっしゃいます。近年は、どこか痛いとか欠けているから来院されるのではなく、口腔衛生やお話を聞きにいらっしゃる患者さんもいらっしゃいます。どこの歯医者でもそうですが、一般的にいって、治療は先生担当、口腔衛生処置や指導は歯科衛生士担当です。私は、口腔衛生を専門とする歯医者ではないので、歯科衛生士のような要領で衛生治療をすることは苦手です。器具を使いこなすことが難しい。時間がいくらあっても思うようにきれいにならない。いろいろな小器具を使ってもこんなもんか?という感じでした。患者さんは期待して来院してくれていますから、思うようにできていない現実を見せつけられるとがっかりしました。

そこで、どうにか短時間で患者さんに負担にならず、効率よくプラークつまり歯のまだ柔らかい状態の汚れ・歯垢(最近はバイオフィルムということが多いです。)を除去できる方法はないものだろうかと探していました。そうして出会ったのがエアフローという機器でした。

早速メーカーの営業の方に、デモをしてもらいに来ていただきました。この機器は、診療台の空気圧が5気圧以上必要で診療台に手を加えなければなりませんでしたが、パワー不足でもとても効果的にプラークを除去できました。デモをしてもらった機器は、ピエゾンという超音波スケーラーも付いている上位機種で、歯を傷つけずに歯石を除去できるという優れものでした。とっても気に入ってしまい、これだと!思いました。結構高額でした。メーカーがメンテナンスを1年ごとにしてくれ、検査後特に異常がなければそのまま返却してくれます。何か不具合があった場合は修理後の返却となり、患者さんには安心して衛生治療を受けてもらえるようになっています。車の車検のようなもので安全に使うためにメーカーが不具合がないか調べてくれるものです。

エアフロープロフィラキシスマスターという機器は、写真のようにとても格好よく機能的です。向かって右側にエアフローのハンドピースがあり、左側にピエゾンタイプの超音波スケーラーかあります。スイッチ一つで使い分けることが可能になっています。エアーフロープロフィラキシス.jpg

エアフローは水とパウダーを噴霧状にしてプラークやステインのついた歯面に高圧で吹きかけて汚れを除去するものです。使用できるパウダーは2種類あります。エアフローパウダープラスとエアフローパウダーレモンです。エアフローパウダープラスは、主成分はエリスリトールです。これは糖アルコールで食品でもあります。平均粒子径は14ミクロンで、糖ですから甘いです。このエリスリトールは皆さんも知っているキシリトールの仲間で、虫歯を作ることはありませんし、血糖値を上げることもありません。

歯ぐきの縁上、縁下のプラーク、修復物クラウンやブリッジの周り、インプラントの周囲に使えます。大体なんにでも使えます。歯茎にあたっても痛くはありませんし、それほど頑固でなければステインも落としてくれます。このステインはつくと歯ブラシでは取れません。取ろうと思うと研磨剤がたっぷりと入った歯磨剤を使いますが、これを使うとある程度はきれいになりますが歯の表面に細かい傷を作ってしまします。プラスパウダーを使うと歯を傷つけずに本当にきれいになります。口元が、ステインで暗くなっているのが、一度で明るくなるので患者さんは大喜びです。

もう一つのパウダーレモンの主成分は炭酸水素ナトリウム、いわゆる重曹です。平均粒子径は40ミクロンで、パウダープラスよりも一回り大きくなっています。レモンの風味はしますが、塩辛いです。また粒子が大きいので、水に溶けにくいので、使用後は口の中が粉っぽくなりますし、顔にタオルをかけて使用しますが唇の周りが白っぽくなります。どのような場合に使うかというと、例えば、たばこのヤニとか時間が経過した頑固なステイン除去には、パウダーレモンを使います。このパウダーは強力ですが、健康な歯にしか使用できません。歯茎にあたると少し痛みます。使う場所が限られてきます。強力ですが、すべてのステインを除去できるわけではなく、特に歯頚部についたステインや歯と歯の繋がった(隣接面といいます)部位は、なかなか取れません。エアフローは、歯についたプラークやステインは除去できますが、色が変わったコンポジットレジンの詰め物や歯そのものが変色してしまったものはきれいにすることが出来ません。詰め物を取り換えるかホワイトニングするかしないと解決できません。

EMSが提供している動画をアップします。みと歯科・矯正歯科のHPの動画を見てください。(下のアンダーバーの部分をクリックしてください。) まさにこの通りです。従来の方法でプラークを除去するためにためには、とても時間がかかりますし、器具を変えなければなりません。

この動画では、プラークの除去を比較していますが、成人の口腔衛生では歯石もついているので、エアフローでは超音波スケーラーもスイッチ一つで使用可能なのでとても効率がいいのです。動画でも歯のプラークを染め出していますが、このようにするとプラークを目で確認することが出来るので取り残しがなくきれいすることが出来ます。エアフローを使って口腔衛生を行えば、ステイン、プラーク、歯石の除去が出来ますが、患者さんがその後自分のお口を大切にして管理しなければその効果はなくなってしまします。

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