歯科医師がすすめる玄米食健康法 その1
私は、できるだけ白米を食べないようにしています。外食では、よほど自然食食堂でない限り玄米はないので、五穀米や麦ごはんが選べればそれを選択しています。
私が玄米を食べるようになったきっかけは、20年近く前に、新体操を習っていた娘に玄米を食べるとスタイルがよくなって健康になるらしいと先生が言っていたので、私も玄米が食べたいと言ったからです。それでいろいろと調べ、久司道夫先生のマクロビオティックと出会ったのです。
今は、ストイックにマクロビオティックは実践していません。陰陽に気を付けて野菜をよくとること、一物全体、地産地消には気を配っていますが、肉や魚、卵、乳製品も摂るようにしています。
その中では玄米は欠かせない食材です。健康の源といってもいいと思います。
私たちはみな、体も心も健やかに生きていきたいと願っています。でも、私たちは、病気になると病院に行きます。先生に診察をしてもらい、お薬を飲み、病気を治そうとします。症状が治まれば、まるでわが身に何も起こらなかったように、またもとの生活に戻って行きます。
例えば、インフルエンザにかかったとします。熱が出て、体がだるくなり、とても仕事や勉強どころでなくなります。インフルエンザに効くお薬をもらい、安静にするとたいていの場合よくなります。病院では、診察をしてくれて、お薬は出してくれますが、インフルエンザにかからない方法は、せいぜいマスクをするとか手洗いをするとかそのようなことしか教えてくれません。
でもよく考えてみると、マスクをしていてもインフルエンザ(コロナでもいいでしょう)にかかる人もいれば、何も予防的なことをしなくても元気な人もいます。何がどう違うのでしょうか。インフルエンザを例に挙げましたが、ほとんどの病気で言えることは、病気というものは日々の生活に起因するということです。そして、その中で、大きな割合を占めるものは、毎日の食事であると考えます。私たちの体は、食べたものでなりたっている(You are what you eat.)と言われる所以です。(むし歯や歯周病も同じだと思います。)
そこで、近年では日本よりは欧米で人気のある和食がおすすめです。和食は、栄養のバランスがよく消化管にとっても優しい食事だからです。中でも主食としておすすめしたいのは未精白の玄米食です。玄米には、植物繊維が多いだけではなく、タンパク質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなど、栄養素のバランスが最も理想的に含まれ、玄米食は完全食と言われています。毎日食べる主食だからこそ、長年の差が大きく健康を左右して行きます。
粕(かす)という字は、米を白くしたもの書きます。精白した白米は、ぬかや胚芽といった米の中でも一番栄養のある部分を捨ててしまった米の死骸です。精米した米をそのまま水に漬けておくと腐ってしまいますが、玄米は芽を出します。玄米一粒一粒は、次の世代に生命をつなげるエネルギーを含んでいます。栄養学的にも優れ、さらに宇宙のエネルギーをもった玄米食は完全食なのです。(だからといって玄米だけを摂っていればほかのものは食べなくていいというわけではありません。バランスよく他の食材を摂らないといけません。)
それでは、玄米を美味しくいただく方法をお話します。いろいろな玄米の炊き方があります。最近の電気炊飯器には玄米のモードがあり、美味しく炊くことができますが、できれば火を使って炊くことをおすすめします。我が家ではシラルガンの圧力鍋を使っていますが、圧がしっかりかかる鍋だと何でもいいと思います。圧力鍋を使ったレシピは以下のようになります。
■圧力鍋を使った玄米の炊き方■
◇浸水していない時(湯炊き法)◇
<材料>4人分 玄米 2カップ
水 3カップ(玄米量+1カップ)
自然塩 1つまみ
<作り方>
1.玄米をボウルに入れ、水を加えてやさしくかき混ぜながら洗う。
水を替えて2~3回洗ってよく水気を切る。
2.圧力鍋に水を加える。ふたをせずに強火にかけ水が沸騰したら塩と玄米を入れる。再び沸騰したらそのまま1~2分沸騰させふたをする。十分に圧がかかったら、弱火にして30分炊く。
3.火を止め、10~15分蒸らし、圧がゆっくり下がるようにする。ふたを取り、しゃもじで玄米をやさしく混ぜる。おひつ・寿司桶などに移し、ふた・濡れ布巾をかぶせる。
◇浸水している時◇
<材料>4人分 玄米 2カップ
水 2と1/2カップ(玄米量×1.25倍)
自然塩 1つまみ
<作り方>
1.玄米をボウルに入れ、水を加えてやさしくかき混ぜながら洗う。
水を替えて2~3回洗ってよく水気を切る。
2.洗った玄米を圧力鍋に移し、水を加えふたをして浸けておく。
3.炊く時に塩を加え、ふたをして強火にかけ、圧がかかったら弱火にして30分炊く。
4.火を止め、10~15分蒸らし、圧がゆっくり下がるようにする。ふたを取りしゃもじで玄米をやさしく混ぜる。おひつ・寿司桶などに移し、ふた・濡れ布巾をかぶせる。
*ポイント*
浸水時間:玄米は6時間または一晩水につけてから炊くのがよい。
発芽する前の状態になって柔らかくなり、消化と栄養の吸収がよくなる。
水分量:食べる人の体の調子・気候・環境の変化に合わせて調節する。
玄米の1.2~1.8倍の水を入れるのがよい。
炊く玄米の量が増えるにつれて水の量は減らす必要がある。
炊く時間:食べる人の体の調子・気候・環境の変化に合わせて調節する。
25~40分が普通である。
上に書いたレシピは、教わったものをのせています。 経験的には、炊く時間は20分くらいで大丈夫です。
6時間つけておくのは忙しい生活の中で難しいと思います。洗ってすぐにでも炊けますが、その場合でもできるだけ長くつけておくのがいいでしょう。
もちろん、玄米モードのある炊飯器を使われてもいいと思います。
もう一つのポイントは、玄米選びです。玄米食は、精白せずにそのままいただくため、農薬や化成肥料を使わない有機栽培米や自然農法米、せめて農薬や化成肥料を減らした特別栽培米を選ぶことが大切です。