マクロビオティックと医学・歯科医学との関連性について

マクロビオティックと医学・歯科医学との関連性について
2024/03/ 4

マクロビオティックと医学・歯科医学との関連性について

 20年近く前に、私がマクロビオティックについて健康との関りについてまとめたものがあるのでそれを紹介したいと思います。

 

現在巷で問題となっている高血圧などの循環器疾患やメタボリックシンドロームなるもの生活習慣病の主な原因は「動物性食物の過剰摂取によるもの」である。現代人の病んだ食生活を改善するためには動物性食品をもっと減らした食のバランスにすることが大切だと栄養学界や医学学界が盛んに注意警告しているのは言うまでもない。

人の歯は、親知らずまで含めると、野菜などを噛み切る前歯8本、肉を噛み切る犬歯4本、穀類などをすりつぶす臼歯20本で構成されている。本来私たち人間は、植物性食物を食べる歯 対 動物性食物を食べる歯の構成からかんがみて28本 対 4本、つまり7対1の割合で摂取するのがよいのだと歯科医の立場から考察する。

この7対1のバランスに近づける食生活を私たちに教えてくれるのが、私が注目したマクロビオティックの食事法である。マクロビオティックとは、玄米菜食を基本とする食事法の実践であるが、広い意味では、陰陽や東洋医学をも含む自然と調和した生き方や哲学の意味合いも含まれるものである。

多くの現代人がかかえる生活習慣病は食の乱れにより引き起こされるということは多くの文献書物で明らかになっている。(詳細については、葬られた「第二のマクガバン報告」上・中・下巻等参照)

生活習慣病とされる肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症、心臓病、骨粗鬆症などは、砂糖を多く含む食品、動物性食品、牛乳・乳製品などを多量にとることから引き起こされ、そのことは医学的にも認められている事実である。今や癌よりも生活習慣病の方が死亡原因となっている。

 

歯科においては、「虫歯や歯周病もこの生活習慣病の一つである。」と考えられている。

まず、虫歯の成り立ちについて説明すると、私たちの歯は口の中がpH5.4以下の酸性になるとエナメル質が溶けて虫歯が発生する。虫歯菌が酸を作って虫歯ができるのは、血液を酸性にしてしまう砂糖を摂取することが大きな原因の一つである。この砂糖は体を酸性にしてしまう。結果、酸性になった血液を中和するために体の中のカルシウムなどのミネラルが使われ、骨や歯の質を弱くする原因となる。

 

次に、歯周病の成り立ちについて説明すると、歯周病は私たちの口の中に生息する細菌のバランスが崩れた時に発生する。近年この歯周病が糖尿病を悪化させる一つの原因であることが解明された。また歯周病菌あるいはその産生物質が血管内に入ることにより動脈硬化が促進され、狭心症や脳梗塞の原因にもなることも分かってきた。

生活習慣病の原因である動物性の肉や脂類、牛乳、卵などを多く含む食事は私たちの血液をドロドロにしてしまう。ドロドロになった血液は、患部に滞り白血球やリンパ球による免疫が働かないため、この歯周病を悪化させる原因となる。

 

これまで歯科とは関係ないと考えられていた全身の疾患が歯科疾患と虫歯や歯周病は密接に関連していることが近年科学的に証明されたのである。

 

マクロビオティック料理は、玄米と有機野菜など植物性食品や塩、味噌、醤油など日本の伝統的な調味料を使い、多くの動物性食品、牛乳・乳製品、卵、白い砂糖を使わない料理である。食物繊維や抗酸化物質が豊富で、脂肪分やコレステロールを含まないマクロビオティック料理は、この生活習慣病の改善と予防に相応しいものであると私は判断した。

 

特に中でも虫歯の大きな原因と考えられる「砂糖を使わない」というところは歯科医として大きく着目した点である。

またさらにこの食事法に魅力を感じた点はマクロビオティックの主食で一番お勧めの全粒穀物である玄米を「よく噛んで食べる」という必要性である。マクロビオティックでは、一口につき少なくとも30回は噛むということを勧めているのである。

よく噛むと次のような数多くの効果が挙げられる。これは歯科医としては患者様に是非ともお伝えしたい内容である。

  1. あごの発達を促し、歯並びを美しくする。脳に近い口をよく動かすことにより、意識・思考が活性化する。
  2. 唾液に含まれる消化酵素アミラーゼ、リパーゼなどが働いて、食物の消化吸収を助ける。
  3. 血糖値の上昇が緩やかになる為、自然と食べる量が減り「腹八分目」を実践することができる。
  4. 唾液は体の中の毒素をデトックス(解毒)することができる。
  5. 唾液と食物繊維との相乗効果で、口の中をきれいにし虫歯予防につながる。

 

以上ですが、私は今植物性の食べ物だけではなく、動物性の食べ物、卵、乳製品など摂るようにしています。マクロビオティックの推奨する食事のバランスでは、十分に必要な栄養素が摂れないと考えているからです。マクロビオティックの推奨する料理に、動物性の食物と乳製品などをバランスよく摂ることが大切だと思います。ただし、動物性の食品、乳製品が中心になることはとてもよくないと考えます。また、白い砂糖は医学・歯科医学の観点から見ても問題が多すぎます。甘いものは、嗜好品として楽しむくらいでちょうどいいと考えます。

私たちの体は私たちが食べたもので成り立っています。食べたものを分解、消化して、私たちの体を構成するものに作り変えています。渡地たちは、食べたもの、口から入れたものでできているのですから、人工的に作られたものでなく、いいものを食べようではありませんか!