インビザラインではなくシュアスマイル(SureSmile)というマウスピース矯正について
マウスピース矯正と言えば、インビザラインと言われるほどインビザラインはマウスピース矯正の代名詞になっています。日本ではデジタルで作成するマウスピースの特許が切れたため、それぞれメーカーが特徴をもったマウスピース矯正をだしています。
そこで、インビザラインシステムの他に当院で採用したのが、シュアスマイルというマウスピース矯正です。このマウスピース矯正は、ドイツのメーカー、デンツプライシロナという会社が開発製造しています。デンツプライシロナというメーカーは、マウスピース矯正だけでなく、歯科機器、備品、材料。ソフト等に至るほとんどすべての製品を作成しており、世界で初めてデジタル口腔内カメラを開発して それを搭載したCERECを販売したメーカーです。
先日、当院に導入したPrimescan Connectを開発したのもデンツプライシロナです。iTeroのスキャンデータがインビザラインに直結していますが、Primescanのスキャンデータはシュアスマイルに直結しています。(インビザラインマウスピースの作成にはiTeroのデータでないとだめですが、シュアスマイルはPrimescanのデータだけでなく、他のスキャナーのデータでもSTLという形式なら受け付けてくれます。)
矯正用のマウスピースのことをアライナーと言います。これからは、マウスピースと言わずにアライナーと言います。
アライナー矯正で、インビザラインの優れているところは、クリンチェックという治療計画作成ソフトです。私も長年クリンチェックを使っていますが、毎年のように使いやすく進化しています。昨年の8月より、コンプリヘンシブパッケージではCBCTのデータを利用でき、統合されたクリンチェックを利用できるようになり、歯の動きを顎の骨の中の歯根の動きで確認できます。図1左に示す赤い印のところは移動中に歯根が顎の骨から出ていることを示しているので、顎の骨の中だけで動くように指示して変えることができます。右の図は同じ段階ですが、これまで歯冠だけしか見えないクリンチェックだとこのような指示を出すことはできませんでした。インビザラインは、クリンチェックという優れたソフトを持つアライナー矯正です。インビザラインは、インビザラインファーストで小児でも適応でき、コンプリヘンシブパッケージの他に症例の難易度に合わせてエクスプレスパッケージ、ライトパッケージ、モデレートパッケージがあり、とても適応範囲が広く設定されています。
図1
それに対して、シュアスマイルは、治療期間は3年、追加アライナー無制限、当院ではCBCTデータも組み込める設定にしているコンプリートオプションと軽い症例に適応できるセレクトオプションの2種類があります。コンプリートオプションには、振動型のフィッティング装置Vproが付いてきます。インビザラインのコンプリヘンシブパッケージとモデレートパッケージの中間に位置していると思っています。
違うところは、治療計画を作ったり修正したりするソフト(インビザラインのクリンチェックに相当)が異なりますが、とても実用的に使いやすいように作られています。(図2)ただし、細かい指示を出すとき、インビザラインだと日本語でいいのですが、シュアスマイルは英語のみ受け付けてくれます。
図2
アライナーの材質が異なるのと図3のようにアライナーのトリムラインを変えることができます。インビザラインは図3の上のように歯の形に合わせたスカラップラインだけですがシュアスマイルでは、下のように歯茎を覆うことができるストレートラインにすることができます。症例によって使い分けていきます。
メーカーが違いますから、それぞれ優れた特徴を持っています。症例によって見極め、お勧めしていきたいと思っています。