「ルネサンスvol13 食がもたらす"病"という本。
最近は、食と病気を切り離して考える医者は少なくなってきていると思います。私も、大昔は食べ物によっては病気をもたらす、あるいはその原因となるものとは考えていませんでした。私は、歯科医師ですから扱う病気は、むし歯が多く、その原因が砂糖を多く含む食べ物や飲み物であるということは大学で習って知っていました。(当たり前のことですが。)
「食」に特に関心を持ち始めたのは、2005年くらいにマクロビオティックに興味をもち、マクロビオティックについてその考え方を勉強し始めた頃でした。
"You are what you eat."と言います。人の体は毎日の食べ物そのものです。人の体は種々の元素の集合体です。空気がないと生きていけませんが、空気が体を作っているのではありません。人は食べたものをいろいろな形に変えて体を作っているのです。不思議ですね。命をつなぐために、命の無いものを取り入れているのですから。人は食べたものを消化吸収して形を変えて体を作っているのです。
ダイレクト出版から出ている、ルネサンスという本があります。そのvol13が、食がもたらす"病"~日本の食 安全神話崩壊~というタイトルがつけられています。人が生きていくうえで不可欠な「食」。われわれにとっては非常に身近なトピックスでありながら、「食」は政治や科学、医療の問題点をも浮き彫りにしている。今、日本の食品は"病んでいる"。それはわれわれの健康だけでなく、国や環境、われわれの思考まで蝕んでいる・・・。日本という国を丸ごと荒廃させている食の問題に迫る。という説明がついています。
「減塩」が病気をつくる! "食卓"が教える戦後史―米国の罠に落ちる日本 危ない食品を見分ける技術―安全性を脅かす放射能汚染水放出とお表示義務 「家族農業」こそ日本再生への道―一石三鳥の農業で豊かに暮らす 消えゆく日本の伝統食―「野生肉」の復活を 魚離れの実相―事実の理解とその対策・展望を考える 食と病気と日本人―がんが増えた理由とは が主な記事のテーマです。それに、安全な「食品選び」ガイドが載っています。
それぞれのテーマに沿って、その分野に詳しい著者がそれぞれの考えを披露しています。
その中で、「食と病気と日本人」のテーマで記事を書いているのは、歯科医師の吉野敏明先生です。がんについて考察しています。喫煙率は年々下がっています。1965年には、9割くらいの男性がたばこを吸っていて、2015年には20%に減っています。たばこは肺がんと関係があると国はいっているにも関わらす、反比例して肺がんの罹患率は、7倍に増え、死亡率も4倍に増えています。おかしいですよね。医学は年々進歩していると言われますが、医療費は、医学が進歩しているにも関わらす、増え続けています。医者は「治療の専門家」ですが、「健康の専門家」ではないと書いています。また、日本の国民皆保険制度の中には「病気にならないために施す医療」の項目はありません。つまり「健康な人をつくる」という医療は、日本にはほとんどないと書いています。吉野先生は、歯科医師ですから、歯科についても述べています。」歯科では、1989年から「8020運動」(80歳で20本歯を残そう)というのを始めています。始めた当初は80歳の歯は平均3本しかなかったのですが、今では8018くらいまで増えてきて、虫歯も歯周病も3分の1くらいになりました。私たち歯科医療関係者は「健康な人をつくる」ということに貢献しています。
話はそれましたが、がんは「食源病」であると結論付けています。詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、その国のがんの歴史はその国の人々が食べてきたものの変化で変わってきているということです。食とがんとの関連性については「葬られてきた第二のマクバガン報告」という書物に詳しく書かれています。
余談になりますが、食品添加物の中には、発がん性をもつものが多くあります。例えば、ハムやウィンナー・ソーセージなどの加工肉に使われている発色剤「亜硝酸塩」で、これが胃酸と混ざるとニトロソアミンという猛烈な発がん性物質に変わるのです。このニトロソアミンが溜まるのは胃と直腸だけなので、日常的にハムやソーセージを食べる方は要注意です。また、食品店添加物は、ない方がいいのですが、イギリスでは認可されている食品添加物は21品目しかないのに、日本はその70倍の約1500種類あります。食品を購入するときは、必ず裏の成分表を見て、自分の体に入れてよいものかどうかを考えていただきたい炉思います。自分の体は、自分で守らないといけないと考えます。